前回の記事では、電力や電力量(Wh)について解説しました。
→ 【電気の基礎】電力量と電力の違いをやさしく解説|第二種電気工事士の頻出分野説
電力量(Wh)は、「電気をどれだけ使ったか(エネルギー量)」を表すものです。
一方でジュール熱は、「エネルギーが熱に変わったとき、どれだけの熱量が発生するのか」
という話です。
これは、ジュール熱(熱量)=I²Rt という公式を使って求めることができます。
第二種電気工事士の試験では、「接触抵抗から発生する熱量(kJ)」を求める問題が毎回のように出題されています。
本記事では、ジュール熱の意味から公式の使い方、そして実際の過去問の解き方まで、わかりやすく解説します!
この記事を書いている人
- 電気工学を大学で4年間専攻
- 第一種電気工事士、1級電気工事施工管理技士、高校教諭免許(電気)を取得
- 大手電気工事会社で10年間、現場監督・施工管理を経験
- 現在は製造工場で電気保全を担当
- 資格と現場の両方から「実務に活かせる電気」をわかりやすく発信中!
ジュール熱って何?

ジュール熱を計算する公式は、次の通りです.
Q = I² × R × t (J)
この式の意味は、それぞれ以下の通りです。
- Q:発生する熱量(ジュール, J)
- I:電流(アンペア, A)
- R:抵抗(オーム, Ω)
- t:時間(秒, s)
たとえば、「2Aの電流が5Ωの抵抗を10秒流れたときに発生する熱量」は、
Q = 2² × 5 × 10 = 4 × 5 × 10 = 200J=0.2kJ
と計算できます。
point
ジュール熱の単位は「J(ジュール)」ですが、試験では「kJ(キロジュール)」に変換して、回答する場合もあるので注意!
(例)
1000J = 1kJなので200J=0.2kJになります。
【例題】ジュール熱の計算問題

令和7年度第二種電気工事士上期学科試験よりジュール熱の問題を抜粋
まずは 、ジュール熱の公式より
Q=I²Rt
公式をもとにそれぞれの値を整理します。
I=10A
R=0.2Ω
t=3600秒
整理した値を公式に代入すると
Q=10×10×0.2×3600
=7200(J)
求める熱量の単位はkJのため答え
Q=7.2(kJ)となる。
答え、イ

「一般財団法人 電気技術者試験センター 令和6年度第二種電気工事士下期学科試験」
もう一問解いてみましょう。
公式をもとにそれぞれの値を整理します。
Q=I²Rt より
I=20A
R=0.5Ω
t=3600秒
整理した値を公式に代入すると
Q=20×20×0.5×3600
=720000(J)
求める熱量の単位はkJのため答え
Q=720(kJ)となる。
答え、ハ

この問題は少し形が違う問題ですが、基本的な流れは同じです。
まずは、公式をもとにそれぞれの値を整理します。
ジュールの熱の公式Q=I²Rt に電力の公式P=I²Rを代入して
➡電力の公式を思い出せない方はこちら
Q=Pt となる
P=400(W)
t=80(分)×60=4800(秒)
整理した値を公式に代入すると
Q=400×4800=1920000(J)
求める熱量の単位はkJのため答え
Q=1920(kJ)
答え、ロ
ジュール熱の問題は、正直“サービス問題”に近いです!
公式をバッチリ覚えていれば、あとは数字を入れるだけ。
出題率も高く、確実に得点できるチャンスなので、ぜひ公式を覚えて得点源にしておきましょう!
まとめ|ジュール熱は確実に得点したい重要問題!
ジュール熱は、電気が熱に変わる仕組みを数式で表したもの。
一見ややこしそうに見えるかもしれませんが、覚える公式はひとつだけ。
Q=I²Rt(J)
この公式を覚えて、あとは値を整理して代入するだけでOKです!
ただし、時間の単位は秒に変換して計算するので求めらるジュール熱の単位はJになります。
問題文に従って、JをkJに変換する必要があるので間違えないようにしましょう。
point
ジュール熱の公式は
Q=I²Rt(J)
JをkJに変換するときは、1000J = 1kJの関係になる。
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