第二種電気工事士の筆記試験・問2では「抵抗率を求める問題」がよく出題されます。
一見むずかしそうに見えますが、公式と単位の意味を正しく理解しておけば、確実に得点できる問題です。
この記事では、「電気抵抗とは?」「抵抗率って何?」「材料によってどう変わるの?」という基本から、抵抗率の求め方や頻出の計算パターンまで、やさしく解説していきます。
電気が苦手な人でも理解できるように、図解や例題もまじえて紹介していくので、ぜひ最後まで読んでみてください!
この記事を書いている人
- 電気工学を大学で4年間専攻
- 第一種電気工事士、1級電気工事施工管理技士、高校教諭免許(電気)を取得
- 大手電気工事会社で10年間、現場監督・施工管理を経験
- 現在は製造工場で電気保全を担当
- 資格と現場の両方から「実務に活かせる電気」をわかりやすく発信中!
電気抵抗とは?|電気の流れにくさを表す値
電気抵抗とは、電気の流れにくさを数値で表したものです。
たとえば、水がホースを通って流れる様子を思い浮かべてください。ホースの途中が細くなっていると、水が流れにくくなりますよね?
電気もそれと同じで、導線などの中を電流が流れるとき、内部の「通りにくさ」があるとスムーズに流れなくなります。
この流れにくさ=抵抗を表すのが、電気抵抗(記号:R)です。
単位はオーム(Ω)
電気抵抗の単位は、オーム(Ω)です。
- 値が大きい → 電流が流れにくい
- 値が小さい → 電流が流れやすい
たとえば、同じ電池(電圧)を使っても、電気抵抗が大きな部品には電流がほとんど流れません。逆に、電気抵抗が小さな導線には多くの電流が流れます。
オームの法則からも確認できる

電気抵抗と電流・電圧の関係は、オームの法則で簡単に表せます。
V = R × I (電圧=抵抗×電流)
この式からもわかるとおり、抵抗が大きければ、同じ電圧でも電流は少なくなるのです。
オームの法則は、電気の話をするときに必要になる考えです。
まだマスターしていない人は、こちらの記事も参考にしてみてください
➡オームの法則で電流を求める基本計算|第二種電気工事士の得点源をマスターしよう!
抵抗率とは?
電気抵抗が「電流の流れにくさ」を表すのに対して、**抵抗率(導体の材質によって決まる性質)**は、「どんな金属が電気を流しやすいか・流しにくいか」を示す指標です。
たとえば、銅やアルミは電気をよく通すので、抵抗率が小さく、逆にゴムやプラスチックなどは電気をほとんど通さないので、抵抗率が非常に大きくなります。
電気抵抗値の公式

電気抵抗値の公式は$$R= ρ\frac{ℓ}{A} $$
で表せます。
- R:抵抗(オーム・Ω)
- ρ:抵抗率(Ω・m) ← 試験問題は抵抗率を求める問題が多い
- ℓ:導体の長さ(m)
- A:導体の断面積(m²)
イメージで理解しよう!
- 導体の長さがℓ が長いほど、電気が通る「距離」が長くなるので、抵抗は大きくなります
→ 分子にくる - 断面積 A が広いほど、電気が通る「道幅」が広くなるので、抵抗は小さくなります
→ 分母にくる
[例題]過去問で抵抗率の問題を解こう!

令和7年度第二種電気工事士上期学科試験よりジュール熱の問題を抜粋
電気抵抗公式:$R= ρ\frac{ℓ}{A} $
問題文より、同じ材質で抵抗率が同一であるためρが消える
抵抗が等しくなるので
$ \frac{ℓ_1}{A_1} $=$ \frac{ℓ_2}{A_2} $ ➡ A2=A1$ \frac{ℓ_2}{ℓ_1} $
ここで断面積$A = \frac{\pi d^{2}}{4}$
$\frac{\pi d_2^{2}}{4}$=$\frac{\pi d_1^{2}}{4}$×$ \frac{ℓ_2}{ℓ_1} $
d2=d1×$\sqrt{\frac{\ell_2}{\ell_1}}$
d2=1.6×$\sqrt{\frac{32}{8}}$=1.6×$\sqrt{4}$=1.6×2=3.2[㎡]
よって答え:3.2[㎡] (ハ)
point
- 断面積$A = \frac{\pi d^{2}}{4}$ ➡断面積は直径の2乗に比例
- r(半径)とd(直径)を混同しないように
まとめ
- 電気抵抗(R)は「電気の流れにくさ」を表す値で、単位はオーム(Ω)
- 抵抗が大きいと電流は流れにくく、小さいと流れやすい
- 抵抗率(ρ)は材料ごとの性質を表し、公式$R= ρ\frac{ℓ}{A} $ を理解すれば解ける
- 長さℓが長い → 抵抗は大きくなる
- 断面積Aが大きい → 抵抗は小さくなる
抵抗・抵抗率は暗記だけでなく、「なぜそうなるか」をイメージで理解すると得点源になります。
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